2つのモデル村に関する評価の概要
以下は2つのモデル村での情報収集に基づいて、調査団が製品、顧客、マネージメントなどの観点から、Phu Vinh 村とVan Lam 村を分析した結果の概要です。
*なお、これらの村への訪問を御希望の方は*
T&T Travel: 担当 Nguyen Van Uc さん (英語・ベトナム語), 住所:9 Vong Duc St., Hoan Kiem District, Hanoi, Vietnam, 電話 (84 4) 824 5116, ファックス: (84 4) 824 5167, 携帯:(84 9) 1360 4689, E-mail: uc.nv@tnt-vietnam.com, または、
Hanoitourist Travel Center: 担当 Hoang Nhon Chinh さん (英語・ベトナム語), 住所:18 Ly Thong Kiet Street, Hanoi, Vietnam, 携帯:(84 9) 1322 9252 E-mail: chinhhn@yahoo.com, hanoitourist-hnc@fpt.vn,
まで御連絡ください。
Phu Vinh 村の籐・竹細工産業の評価
1 現状
- インフラ: Ha Noiからの道に関しては比較的良好である。主要な竹・籐細工輸出企業はHa Noiへ向かう国道沿いまたはそのそばにある。しかし村の内部の道に関しては外国人旅行客を呼び込みたいなら改善が必要だろう。

- 労働力:村の内部および省内から、低賃金の熟練労働者・単純労働者が十分に供給されている。名人とされる熟練した職人たちは高いデザイン能力を持っている。若い生産者も意欲に溢れており、学生に技術を教えてあげようとする姿勢なども見られた。
- 原材料:地元では竹や籐の原材料が枯渇しつつあり、村の外から材料を持ち込んでいる状況である。過去2年で原材料価格は4割上昇したという。
- 環境:村役場の役人からは、水の汚染に関する問題が報告されたが、実際の村におけるフィールド調査ではその実態を窺い知ることはできなかった。
- 工芸品の歴史:村の人たちは長年にわたり籐・竹細工の生産に携わっている。
2. 製品
- 籐・竹製品の十分な多様性(家具、日用品、装飾品)。
- モチーフとデザイン:何世代も引き継がれてきた地元の知恵を基にした沢山のモチーフが見受けられる。製品のデザインは彼らの日常生活からヒントを得て作られているようだ。
- 独自性:他の職人が作っていないような、非常に独自性の高い製品を作っている職人が何人か存在する。籐や竹以外の自然の素材を組み合わせたりしているものもあったが、普段の生活で使いにくそうなものもあった。また、新しいデザインがすぐに競争相手にコピーされてしまうという問題を訴える職人もいた。
- 製品の品質は、ほとんどはきちんと仕上げられた質の高い製品ではあるものの、玉石混合である。生産者の中には、化学薬品などの効果を過信しているものも見られた。色付けについては、自然の素材を用いた方法に置き換えていくべきだろう。
- 村における自家製品の利用:割合はそれほど高くはないものの、自分で作った籐や竹の製品を自分の家で日々の暮らしに利用している姿が見受けられた(鳥籠、机、椅子、子供用の椅子、何度も補修されて使われ続けている痕の見られる道具箱、籐の椅子、ベッド、ソファーなど)。
- かつて村で使われていた製品:かごや急須用の保温のためのかごなど(1990年ごろまで頻繁に使われていた)
- 輸出用にのみ作られている商品:女性用のハンドバッグ、パンを入れるためのかごなど。
- 全般的に見て、職人や村の生産者は非常に高い技術を持ち、竹・籐細工の生産に長い歴史もあるが、製品の開発、包装、ブランド化などについてよりトレーニングが必要である。
3 顧客
- 輸出市場: Phu Vinh村の生産者は、ヨーロッパやアジア向けの輸出に非常に成功している。海外の消費者にとっては、このような製品はノスタルジックでエキゾチックなのだろう。

- 外国人旅行客に対しては、主にHa Noiの小売店を通じて販売されている。村を直接訪れる外国人観光客はまだ多くない。
- 竹・籐製品の国内市場はあまり開拓されていない。
- 家具・インテリア商品は国内市場をターゲットにしているものが多いが、国際市場向けのものもある。
- Phu Vinh村の弱点として、顧客や市場についての知識が十分でないことが上げられる。市場調査が十分に出来ないことが弱みであろう。
4. マネージメント
- 大抵の場合伝統的な技術を用いて家族の中で生産工程を分担している。
- より規模の大きな輸出会社では、近代的なマネージメントシステムを用いて生産している。こうした会社は海外からの大量の注文をさばくために、家族単位の生産グループと連携している。
- 輸出会社の自社ショールームでは、沢山の種類の商品見本が飾られているが、その商品を開発した人の情報や、使い方の解説などの情報が欠けている。

5. 他業種との連携
- 村の生産者の多くが生産方法を改善したり村のマスタープランを開発したりする上で地元政府と緊密に連携している。
- 商品の中にはBat Trangの陶器産業との連携が見られた。陶器と籐を組み合わせて新しいデザインを創り出しているのが印象的であった(陶器のボウルに籐の縁取りなど)。
- Ha Noiの大学との連携は今のところない。大学との協力関係が出来れば、ビジネストレーニングや品質・デザインの向上について助言が獲られるだろう。
- Ha Noiの旅行業者やホテルとはほとんど連携がない。
6. その他
- 村とその製品についての情報を得にくい。
- 竹・籐製品の生産の残りかすが大量に各家の裏に捨てられていた。
Van Lam村の刺繍産業についての分析
1 現状
- インフラ:陸のHa Long湾とたとえられる有名な観光地Tam Cocのためのインフラが使えるため良好である。道も良く整備されており、ホテルやレストランも十分にある。
- 労働力: 低賃金の熟練・単純労働者が村の内外から十分な量供給されている。
- 原材料:質の高い布がヨーロッパや他のアジア地区から輸入されている。ベトナム製の布も使われている。
2. 製品
- 製品は多様性に乏しい。ほとんどの製品がテーブルクロスやナプキンなどである。
- 独自性:他の地域や国でも類似の製品が作られており、あまり独自性があるとは言いがたい。製品は海外の顧客に向けてデザインされており、観光客にとって魅力的であろう伝統に根ざしたデザインの保全などはあまりされていないのが現状である。
- 全般的な製品の質は非常に高い。
3. 顧客
- 刺繍製品はドイツやイタリアなどのヨーロッパの国々など洗練された刺繍のデザインを要求する国にも輸出されている。
- 外国人観光客向け市場はHa Noiの小売店向けである。Tam Cocを訪れる観光客が多く村を直接訪れており、こうした訪問客への販売も盛んである。従って、直接的に観光客へ売るチャンスも大きい。
- 刺繍製品の国内向け市場はあまり大きくない。地元の消費者にとって価格は高価であり、またデザインや模様が日常生活にあまりあわないのが原因である。
- 村が抱える主要な問題として、市場と顧客についての情報が不足していることが上げられる。しかしながら竹・籐細工のPhu Vinh村と比較すればマーケティングスキルは優れているといえる。
4. マネージメント
- 生産活動の大半は家族世帯単位をベースとしている。
- マネージメント力や組織力はPhu Vinh村よりも優れているように見受けられる。
5. 他業種との連携
- 生産方式の改善やマスタープランの開発に、村の生産者は地元自治体とうまく連携している。
- Ha Noiの大学とは特に連携していない。大学との連携があれば、ビジネストレーニングや質とデザインの向上に助けになるだろう。
- Ha Noiの旅行業者との連携はある程度あるが、十分に開発されているとはいえない。
6 その他
- 村と村の製品についての情報へのアクセスがしにくい。